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| 漢方生薬「柴胡」の原材料
漢方生薬「柴胡」はミシマサイコの根を洗浄・乾燥して刻み片又は粉状にしたもので、主にミシマサイコの2年物、3年物の根が利用されているようです。 ミシマサイコの根は細長い円錐形~円柱形で、本根から多くの分根があり、長さ10~20cm位、直径0.5~1.5cm位で、根の頭には茎の基部を付けています。 根の外面は淡褐色~褐色で、深いしわがあるものもあります。その根は折れやすく、折面はやや繊維性です。また、根には特異なにおいがあり、味は僅かに苦い味がします。 根が太くて、臭いが強く、質が柔らかいものが良品とされているようです。特に柔軟で、刻むと内側の色が淡黄色で油道が明確に認められ、褐色の油が滲み出るものが最高品とされているようです。 |
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| 漢方生薬「柴胡」の薬効成分
主成分は トリテルペン系サポニン : サイコサポニン(saikosaponin)a、サイコサポニン(saikosaponin)d など 日本薬局方規格値:有効成分 総サポニン 0.35%以上 、純度 茎及び葉 茎及び葉10%以上を含まない 他の含有成分は ステロールのスピナステロール、スティグマステロール、フラボノイド配糖体 パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸等 |
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| 漢方生薬「サイコ(柴胡)」は「日本薬局方」で規定されています。 日本薬局方は1886年に制定されたもので、その後は時代の変化に合わせて改訂版が発行されている医薬品・薬剤の規格基準書で、日本国内で使用できる医薬品・薬剤の種類や品質・純度などの基準は日本薬局方で定められており、日本薬局方の基準に適合しない医薬品・薬剤は薬機法により販売が禁止されています。 ミシマサイコの根から作る生薬サイコ(柴胡)も日本薬局方の医薬品各条生薬の部に掲載・規定されていて、日本国内ではこの規格をクリアしないと医薬品としての「生薬サイコ」の販売を行なうことは出来ません。 |
| 日本薬局方(第18改正) 医薬品各条生薬(抜粋) に掲載されている生薬サイコの規定 |
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| 漢方生薬「柴胡」の主な効能とその利用
柴胡に含まれるサイコサポニンには解熱、鎮痛、抗炎症、抗アレルギー、肝障害改善、抗潰瘍、抗ストレスなどの作用があることが報告されています。 日本では柴胡の配合された処方をとくに柴胡剤といい、慢性疾患や体質改善の治療に幅広く利用されていて、解熱、鎮痛、抗炎症、肝臓などの漢方治療薬に配合されているようです。 漢方薬としては、風邪・胃炎・中耳炎などに小柴胡湯(しょうさいことう)や高血圧・肝臓肥大症・慢性胆のう炎・胆石症・心臓性ぜんそくなどに大柴胡湯(だいさいことう)、長引いたカゼの症状などには小柴胡湯と桂枝湯が合わさった柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)等々があるようです。 医療用漢方処方薬だけでなく、一般市販薬でも漢方製薬会社から多くの柴胡剤が販売されているようです。 |
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| 漢方生薬「柴胡」の主な栽培生産地
日本では野生品はほぼ採集されることはなく、ほぼ全量が漢方製薬会社の商用栽培品となっていて、中国からの輸入と日本の九州や四国地方で栽培生産されています。 現在、日本で使われている漢方生薬「柴胡」は中国からの輸入が90%以上を占めています。やはり価格的に国内産では中国産に太刀打ちできない状況のようで、中国からの輸入品の大部分は日本の漢方製薬会社からの委託生産品だと思われます。 日本の厚生労働省でもこのような現状を打開するため、国内生産の奨励政策をしているようですが、現状は価格的に対応が難しく、順調には進んでいないようです。 |
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