ミシマサイコは比較的病害虫被害の少ない植物ですが、それでも突然葉が枯れ始めて、最終的には全体が枯れてしまうことがあります。害虫被害ではアブラムシやカメムシなどによる被害がありますが、これは直接被害状況を見ることが出来るため、対策を取りやすい面があります。 直接目に見えない原因で葉が枯れ始めて、最終的には全体が枯れてしまう被害がある場合は地中の根が被害を受けている事が考えられます。ミシマサイコの根の病気としては土壌病原菌による根腐れ病や根枯れ病が知られています。 今回、根腐れ病と思われる症状でミシマサイコが枯れた経過を記録しましたので、掲載します。 1.栽培ミシマサイコの根腐れ病による経過 5月末頃までは順調に成長していた ⇒ 写真 枯れ始める前の状態(2022.05.20) 突然6月初め頃から枯れ始めた ⇒ 写真 枯れ始めた状態(2022.06.10) 枯れたくきや葉を切り取り ⇒ 写真 枯れ葉を切り取り(2022.06.20) 7月始めにはほとんど枯れてしまった ⇒ 写真 大部分枯れた状態(2022.07.01) 7月中旬には完全に枯れて茎も折れてしまった ⇒ 写真 完全に枯れた状態(2022.07.10) 枯れた柴胡を掘り出して、根の部分を取り出した ⇒ 写真 枯れた柴胡の根(2022.07.20) 根は全体が腐食して、先端部分がない状態になっていた為、根腐れ病によると思われる。 突然枯れ始めてから、ほぼ1カ月で完全に枯れてしまいました。
2.根腐れ病の原因 根腐れ病は土壌病原菌である「ピシウム属菌」「リゾクトニア属菌」「フザリウム属菌」「ファイトフソラ属菌」などの糸状菌(カビ)による病気で、土壌中の水分が過剰な土壌、通気性の悪い(酸素不足)土壌などの条件が整うと、増殖して、植物の根の先端部から侵入して、根を腐食して徐々に根元の方まで腐食が進みます。根が腐食されると水分の吸収や肥料分の吸収が出来なくなり、植物全体が枯れてしまいます。また、症状が酷い場合には根が消失(溶けてなくなる)してしまうこともあります。 この根腐れ病は土壌病原菌により土中の根を腐食させるため、地上部の目に見える病気と比べて発見が遅れやすくなり、手遅れになる場合があります。 今回のミシマサイコの根腐れ病による枯れは多分植木鉢の土壌が固くなってしまい通気性が悪くなったことや水のやり過ぎによる水分過剰などにより、土壌病原菌の糸状菌(カビ)が増殖して根腐れ病が発生したと考えられます。枯れたミシマサイコの根は完全に腐敗していました。 根腐れ病で完全に枯れたミシマサイコは株元から抜くと簡単にすっと抜けてしまいます。正常に成長したミシマサイコの株は根元から抜くときにはかなり抵抗がり、その差で判別出来ます。
3.根腐れ病の対策 根腐れ病が発生してしまった植物に対する対策は特になく、基本的には廃棄処理するのが一番良い方法のようです。また、周辺の株に伝染するのを防止する為にも、根腐れ株は早めの処分をする必要があります。根腐れ病が発生してしまった土壌や植木鉢は消毒をすれば再使用できますが、基本的には廃棄するのが良いようです。消毒する場合は市販の消毒農薬(ベンレート水和剤やオーソサイド水和剤など)を散布するか、太陽熱消毒(7月~8月の暑い時期に土壌を透明のビニール袋に入れて日光に晒して熱消毒)をする必要があります。 初期対策としては水はけの良い、通気性のある土壌を使用して栽培することと、水や肥料のやり過ぎに注意することがあり、根腐れが発生した可能性がある土壌は極力使用しないことなどがあります。
追記 参考として、ミシマサイコの根には線虫忌避(きひ)効果があることが実証実験で報告されており、、マリーゴールドの根の線虫忌避(きひ)効果ほど強力ではありませんが、土壌線虫による根の被害はないものと思われます。
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